国民健康保険より任意継続がお得なケースとは?

サラリーマン時代に年収で約500万円を超えていた方で退職後に年収が同じか上がる場合、「任意継続」を選択する方がお得な場合が出てきます。
任意継続とは?
任意継続とは、退職後2年間は会社所属時の健康保険を継続できるというもの。
ただし、労使折半していた保険料のうち会社負担分も自己負担となるので、保険料はそれまでのおよそ2倍の料金となります。
例えば、会社の給料明細で見たときに、毎月12000円の社会保険料を支払っていたという場合、任意継続をすれば毎月24000円を払って加入できるということです。

給与明細に記載されている健康保険料。労使折半になっているので実際の保険料の約半額になっています。
任意継続の損益分岐点は地域によって大きく異なる
しかし、この24000円が高いか安いかは国民健康保険と比べてみなければ分かりません。
国民健康保険料は地域によって大きな差があります。必ず自分の住む地域の保険料と比較してみてください。
30代独身の方が独立し年収500万円が退職後も続くとします。退職後1年目の保険料を試算してみると、下の表のように住む場所によって大きく差が出てきます。
東京都大島町 | 群馬県高崎市 | 山形県山形市 | |
---|---|---|---|
任意継続(月額) | 24,000円 | 24,000円 | 24,000円 |
国民健康保険(月額) | 15,290円 | 29,438円 | 38,570円 |
差額(任意継続の方が) | 8,710円高い | 5,438円安い | 14,570円安い |
しかし、この段階でも任継続の方が得か損かを決めてはいけません。
次に任意継続2年縛りのワナについて説明します。
年収の変動も要チェック!任意継続の2年縛りのワナ
任意継続は契約の2年縛りがあります。再びサラリーマンとして社会保険に加入する場合を除いては途中で別の保険に変更するということができません。
上述した国保との比較で任意継続の方が安かったとしても、サラリーマン時代と退職後で年収が大きく下がる場合には注意が必要です。
年収の変動3パターンについて任意継続と国保加入のどちらがお得なのかを試算した結果は以下の通りです。
モデルケース 30代独身 神奈川県川崎市
年収が下がる場合 500万円→300万円
サラリーマン時代 | 退職後1年目 | 退職後2年目 | 退職後2年合計 | |
---|---|---|---|---|
年収 | 500万円 | 300万円 | 300万円 | |
任意継続(月額) | - | 24000円 | 24000円 | 576000円 |
国民健康保険(月額) | - | 28000円 | 16000円 | 528000円 |
結果:任意継続にすると退職後2年間で 48000円の損
年収が変わらない場合 500万円→500万円
サラリーマン時代 | 退職後1年目 | 退職後2年目 | 退職後2年合計 | |
---|---|---|---|---|
年収 | 500万円 | 500万円 | 500万円 | |
任意継続(月額) | - | 24000円 | 24000円 | 576000円 |
国民健康保険(月額) | - | 28000円 | 28000円 | 672000円 |
結果:任意継続にすると退職後2年間で 96000円の得
年収が上がる場合 500万円→700万円
サラリーマン時代 | 退職後1年目 | 退職後2年目 | 退職後2年合計 | |
---|---|---|---|---|
年収 | 500万円 | 700万円 | 700万円 | |
任意継続(月額) | - | 24000円 | 24000円 | 576000円 |
国民健康保険(月額) | - | 28000円 | 40500円 | 822000円 |
結果:任意継続にすると退職後2年間で 246000円の得
退職した年はサラリーマン時代最後の年収を元に保険料が計算されるため「任意継続が得」という結論に至る場合が多いのですが、退職後2年目は退職後1年目の年収を元にして保険料が計算されるので国民健康保険が大幅に安くなるケースがあります。
ところが任意継続は2年縛りなので国保に切り替えたくても原則的には切り替えられません。
最終手段として、保険料を滞納すれば任意継続の資格喪失として中段することもできるのですが。。。あとはモラルの問題です。
任意継続を決めたら急いで手続き
任意継続は会社を辞めてから20日以内に手続きをしなければいけません。
退職前にどちらにするかを決めておき、早めに手続きを済ませられる準備をしておきましょう。